防災講演会は「去年の続き」、ではないのだ
昨日は獨協大学へ行ってきた。
渡辺教具(株)さん制作による特大地球儀撮影のため(次号掲載予定)と、午後に開催される「防災まちづくり講演会〜わたしたちは今、何を備えるべきか〜」に参加するためだ。
去年は、「草生人」創刊時から考えていた防災特集号のために、3回講演会に参加した。そのうちのひとつが、この講演会と同じ形で開催された同じタイトル「防災まちづくり講演会~大地震、その時あなたはどうする?~」。
このときは、美人地震学者として有名な(直前にNHKテレビ出演もしていて話題になっていた)大木聖子氏が基調講演を行うこともあって、会場はほぼ満員だった。残りのふたつはまあ置いておいて(^_^;)※1
で、今回の講演内容は、去年の講演会を聞いている人にとっては、それほど目新しい内容では無かったかもしれない。常に地震を意識して「これはもっとちゃんと情報を集めてしっかりせねば!」と考えて行動している人にとっては、知っていることが多かった。
ただ、去年「草加に救援はきません」という言葉で注目をあびた木村玲欧氏は、そのことをさらに詳しく伝えてくれたし、山根一眞氏による関東大震災のフィルムは上映はかなりショックだったし※2、田中市長さんによる草加市の現状についての説明も納得ができた。
だが、パネルディスカッションが終了し、講演会もおしまい、というときに、1人の男性が一言言わせてくれと立ち上がった。
「去年の講演会はおもしろかった。今回は大地震で何をしたらいいかがわかるかと思って聞きに来たのに、何も得られなかった。聞いたことは全部知っていることばかりだ」と、パネリストに向かって少しいらだった口調で文句を付けたのだ。つまり、この人は「去年の続き」を聞きにきたのだ。
山根氏も木村氏もそれに対して大人の返答をしていたが、要約すると(意訳(^_^;)「あなたが意識が高いことはわかった、それはとても素晴らしいことだ、しかしそうでない人の方が多い、その人たちへの啓蒙が講演会のテーマだから」。
つまり、この手の講演会の大きな欠点なのだこれは。
問題意識を持っている人が講演会を聞きに行くが、伝える側はもっと大きな聴衆(興味の無い人)を設定しているという。。。子育てにしても環境問題にしても。
ともかく地震に備えるという点で行政側が一番市民に伝えたいことは、ともかくみんな自分の身は自分で、もしくは地域で守ってね、ということ。それを繰り返し事例を交えて伝えているわけなんだけれど、昨日講演会に来ていた人はそれくらいのことはもう知ってるんだよね。
講演会の途中で、山根氏が「去年もこの防災講演会に参加した人」と挙手を求めたら、私も含め、けっこうな人数が手をあげた。文句つけた人と同じ感想を抱いた人が多かったかもしれない。
ちなみに去年もそうだったけれど、講演会参加者は一目で高齢者が多いとわかる。中高年ではない「老人」が多いのだ。町内会・自治会や、婦人会的な団体の役員が来ているんだと思う。もちろんこの話を自分の団体に持ち帰り、若い人に伝えられればいいが、そのシステムは………すでに破綻してるわけで(町内会・自治会への参加率は6割を切っている)。
興味を持たない人にも、伝えなければならない重要なことを伝えるには、どうしたらいんだろうな。
※1
去年の防災講演会の内容は、「防災特集号」のPDFを参照。
(Downloadボタンをクリック)
また、草加市の防災に関わる情報は、テキスト版にまとめてあるので読んでください。
※講演会で山根氏のお話に登場した「関東大震災」の映像、NHKで 昨日の夜放映された「NHKスペシャルシリーズ MEGAQUAKE巨大地震」でも流れていた。関東大震災時にも、18年前にこれを予言した人がいたこと、東京の火災ばかり注目されているが、神奈川県の方が揺れの範囲が広かったこと、房総沖に貯まったままのエネルギーがいま大変なことになっていること、などなど、見ておいた方がいい内容。
オンデマンドで放送するってことなので、見逃した方はぜひ。ちなみに今日の夜にも放映される。タイトルは「南海トラフ 見え始めた予兆」こ、怖いぞ。