2016年3月16日 (水)

やりたいことを仕事に「WakuWorklab」

草加マルイ3階にオープンした「WakuWorklab」へ行ってきた。

3月5日にプレオープン、14日にグランドオープン(販売開始。9月まで期間限定の予定)。

パッと見は広々とした明るい雑貨屋さんという雰囲気。店の中央にはゆったりしたソファとテーブルがあり、子ども連れも入りやすい。

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チラシ作成や内装、ディスプレイまで、ほぼすべてメンバーが担当。さまざまなスキルの人が集まっているので、全部自分達でできてしまう。

お店を主催しているのは「そうかぞく」。
草加市が進めている女性向けの創業スタートアップ事業「わたしたちの月3万円ビジネス講座(通称3(さん)ビズ)」修了生15人によって作られた市民団体で、ここはその拠点であり、アンテナショップなのだ。

講座が修了した時、このまま繋がりが無くなるのはもったいないと思っていたところに、草加マルイからスペースを提供してもらえることになり、早速市民団体を結成、活動を開始することになったという。
「WakuWorklab」のキャッチフレーズは「ワクワクを仕事に繋げる」。


グランドオープンの日には、J:COMさんも取材に来ていた。

「東武よみうり」にも記事が掲載されている。(現時点ではリンク切れですが………)

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「そうかぞく」代表の廣政さん取材され中。


「3ビズ」については、去年開催された体験ワークショップの様子が草加市の子育てサイト「ぽっくるん」に詳しく掲載されていたのでこちらをどうぞ。

「月3万円ビジネス」とはもともと「非電化工房」の藤村靖之さん(Wikipedia)が提唱した考え方だ。
「好きなことを仕事にする。子育てや家事で忙しくても、月3万円の利益を得ることから始めよう」というもの。「わたしたちの月3万円ビジネス」講座の講師である矢口真紀さんは彼の塾で学び、地元に帰って「choinaca」を始めた。


「WakuWorklab」では、「そうかぞく」メンバーの作品販売としてだけではなく、ハンドメイド作家さんの作品の販売・ワークショップの場として利用できるようになっている。また、同じ思いを持つ人のサロンとしての役割もある。

 
草加市産業振興課の担当さんは『「3ビズ」の講座で学び、ビジネスを始めた人が、今度は地域の「わくわくを仕事にしたい」という人々を応援していくことになるんです』とおっしゃっていた。このあたりは次号の「草生人」でまとめる予定。

もし今、時間はあまりないけど趣味を仕事にしてみたい、と考えている人がいたら(もちろんそうじゃなくても)、草加マルイの3階というすごくいい場所なのでぜひ寄ってみて欲しい。

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メンバーは子育て中の人も多いが、ちびっ子たちは奥にあるスペースで遊んでいた。その手前のテーブルではワークショップ開催中。

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廣政さんのスペース。

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今までの活動をディスプレイ。

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草生人バックナンバー置かせていただきました(ありがとうございますm(__)m)。

2016年2月16日 (火)

「人形浄瑠璃」が草加にやってくる

 2月12日、草加市文化会館で5月に行われる『淡路人形浄瑠璃(あわじにんぎょうじょうるり) 草加公演2016』のプレイベントに参加させていただいた。記者席ということで、一番前に陣取らせていただき、人形を間近で見ることができた。ありがとうございます。

 「淡路人形浄瑠璃」は500年の歴史があり、国指定重要無形民俗文化財に指定されている。

 公演は「淡路人形座」。淡路島に常設会館があって、連日公演を行っている。草加市では初の公演。

 さて、恥ずかしながら私は日本のこういった古典芸能(歌舞伎や浄瑠璃、文楽)にほとんど触れたことが無く、もちろん「人形浄瑠璃」も初体験。プレイベントでは、「淡路人形座」の支配人坂東氏が、実際の人形を操作しながら、明快で親しみ易い語り口で「人形浄瑠璃」の魅力を語ってくださった。

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 「人形浄瑠璃」は江戸時代以降、「歌舞伎」とともに人気を集めた伝統演劇だ。古典芸能になじみのない私のような人間には、「浄瑠璃」は人形が登場する伝統芸能であることくらいしか思い浮かばず、字面から難しいと思ってしまうが、「そんなことはないです」と坂東氏。


 「浄瑠璃」の名前は、牛若丸の恋人とされる「浄瑠璃姫」から。「浄瑠璃姫の物語」を太夫と呼ばれる語り部が語る芸能が「浄瑠璃」と呼ばれ、別の物語にもこの名が使われるようになったという。人の名前だったのか。。

 

 これが室町時代(15世紀)。

 

 江戸時代(文禄・慶長年間)、京都で「浄瑠璃」と「人形操り」と「三味線」とが結びつき、「人形浄瑠璃」が生まれたのだという。ちなみに「文楽」は人形浄瑠璃専門の劇場の名前だが、今は代名詞のように使われている。Wikipediaでは、「人形浄瑠璃」で検索すると「文楽」に飛ばされる。

 ただ、なぜか私の中には、歌舞伎と人形浄瑠璃が同じ物語を演じていたというイメージが無かった。どうしてだろう。坂東氏は「人形浄瑠璃と歌舞伎とほぼ兄弟みたいなもの。人形浄瑠璃でヒットすると、歌舞伎で上演される」と説明されていた。

 超有名な近松門左衛門は「曽根崎心中」「新充填の網島」など今で言うベストセラー作家。今ちょうどNHKで「近松門左衛門」が主役の「ちかえもん」が放送されている。〆切に追われるふつーの人間として描かれていて面白い。
 イベントでは、人形浄瑠璃の魅力として、実際の人形の操作(裏側)を見せて下さって、これが一番興味深かった。舞台ではこんな近くで人形を見られないわけで、とっても貴重な体験だった。

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※人形を操る坂東氏。表情の硬い人形に、どうやって感情を表現させるのか、ちょっとしたしぐさの差で、笑いと泣きを区別させる、そのテクニックには目からウロコ。

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※黒目、口が動くだけで、表情がとても豊かになる。

 実は、お話を聞きながら、なぜ淡路島で人形が?という疑問が湧いていた。

 解説のパンフレットには、「淡路人形起源伝承」として説明されている。でもこれは伝説だ。
 実際にはどうだったんだろうとネットを探していたら、「阿波人形浄瑠璃物語」※という「徳島新聞」連載記事のアーカイブを見つけた。2002年の記事で、かなり詳しく紹介されている。

 以下ごくかんたんな流れ。
 発祥は平安時代末期。えびす様を祀る西宮神社(現在兵庫県西宮市にある)では、人形を使った神徳の宣伝をしており、その神事(人形操り)を務めていたのが淡路の荘園農民だった。
 室町時代には、荘園が周辺大名に取り込まれて彼らは仕事を失い、淡路島に帰った。その子孫が淡路の人形座を始め、栄えた。
 江戸時代初期には、淡路島を支配下に置いた蜂須賀氏が、淡路を支配するにあたって「人形回しを生業とする農民」である「道薫坊廻百姓(どうくんぼうまわしひゃくしょう)」という身分を作った。淡路島だけにある特殊な身分で、1789年頃道薫坊廻百姓は930人もいたらしい。島の農民の64%が道薫坊廻百姓だったという記録がある。彼らは約40の人形座を結成して、農閑期に西日本を中心として全国を興行したという。

 もともと淡路島は『古事記』『日本書紀』によれば。伊弉諾尊(いざなぎのみこと)・伊弉冉尊(いざなみのみこと)が日本列島で最初に創造した島だという。つまり「日本発祥の地」でもあるわけだ。淡路島の観光のキーワードは「国生神話の島」。「淡路人形起源伝承」に登場する「百太夫」は、イザナギ・イザナミの最初の子供「蛭子(ひるこ/えびす)」を助け、後に淡路島に人形操りを伝えた人間として登場するのだ。
 

 今回上演される演目は、
「戎舞(えびすまい)」。先に書いた西宮神社の進行の宣伝の舞が伝わったもの。
「奥州秀衡有鬠壻 鞍馬山の段(おうしゅうひでひらうはつのはなむこ くらまやまのだん)」。
「鬼一法眼三略の巻 五条橋の段(きいちほうげんさんりゃくのまき ごじょうばしのだん)」こちらは有名な牛若丸と弁慶のを描いた場面。

 タイトルはかなりとっつきにくいが、内容紹介を見ると楽しそうだ。
 こんなリーズナブルな価格で古典芸能を楽しめる機会はめったにないと思う。発売は2月20日から。みなさんぜひどうぞ。

 草加市文化会館 淡路人形浄瑠璃 草加公演2016 


※補足
・徳島新聞の記事。リンク先のページは、第1回。リストはページの下にある。
少しばかり見にくいが、下から日付順に並んでいる。人形浄瑠璃の始まりから現在(2002年当時)の状況まで、本になるくらいの情報量。以下のページを参考にさせていただいた。

・人形劇といえば。
イベントで紹介された、顔ががっと変わる日本人形、「人形浄瑠璃」は初体験の私だが、ものすごくなじみがある。それはNHKで1973年(昭和48年)から1975年(昭和50年)まで放映された『新八犬伝』(ファンページ)という人形劇で見ていたからだ。今や人形作家として有名な辻村ジュサブロー(現在は辻村寿三郎)が300体以上人形を制作していた。そこに顔ががっと変化する人形が登場していたのだ。

・草加元気放送局 フルーティスト宮川さんのブログ

淡路人形浄瑠璃 草加公演2016のプレイベントに参加させていただきました

私のブログとは内容のポイントが全然違っているところが面白いです。

2015年11月 5日 (木)

「障害者就労訓練農場」のハロウィンパーティーに行ってきた

 巷ではバレンタイン以上に盛り上がったといわれるハロウィンの当日、私は「草加市障害者就労訓練農場」で開催されたハロウィンパーティーにいた。

 「障害者就労訓練農場」は「農作業を通じて障害者の自立支援を行う農場」のこと 。
 場所は「そうか公園」の近く、東に埼玉県立草加東高校、西に「そうか光生園」、南に「つばさの森」があるところだ。
 指定管理者である株式会社パソナハートフルさんから「訓練農場で開催される収穫祭、ハロウィンパーティーを開催するので見学にいらっしゃいませんか?」と連絡があり、以前「つばさの森」を取材したこともあって、行くことにしたのだ。

 会場に到着したときには、すでに開会の挨拶が終わっていた………ちょっと失敗。。

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ハロウィンの飾り付けがお出迎え。

 参加者は《訓練農場の訓練生、地域の特別支援学校に通う生徒と住民の方々、パソナグループの社員とその家族 約150名》とあり、かなり賑やか。
 ハロウィンの仮装をしている人も多くて、柿木町の静かな田園風景の中、そこだけ「お祭り空間」となっていた。

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こじんまりした農場の柵や温室にはハロウィンムードを盛り上げるたくさんの飾り付け

 「収穫体験」は、農場に植えられている野菜を文字通り収穫する作業。「オクラ班はこちら〜」などと声が飛び交い、それぞれの担当者が班別に分けられたチームで野菜を収穫。
 収穫される野菜は、ネギ、オクラ、小松菜、水菜、チンゲンサイ、ナス、サニーレタス、さつまいも、ブロッコリー、ハーブと多彩。

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 後半はバーベキューパーティで、収穫された野菜が焼きそばや野菜炒めの具、ピザのトッピングに変身していた。片隅で作られていた焼き芋や、ゲームに使用されたじゃがいもやかぼちゃ(詰め放題ゲーム)は、ここではなく、(株)パソナハートフルが運営する『ゆめファーム』(後述)から持ってきたものだそう。
 ピザも焼き芋もとても美味しかった。

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パーティ風景。向こうに見えるのは「つばさの森」

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「乾杯!」 よく見えませんが、株式会社パソナグループ代表取締役社長 南部靖之氏のお姿もありました。

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カボチャとジャガイモ詰め放題ゲーム。
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収穫された野菜が乗った焼きたてピザ。

 さて、「株式会社パソナハートフル」、皆さんもよくご存じかと思う「株式会社パソナグループ」の「特例子会社」だ。

 日本では、従業員50人以上の会社では障害を持っている従業員を全体の2%以上雇用することが義務づけられているけれど(「障害者の雇用の促進等に関する法律第44条」)、グループ会社で障害者のための配慮をした子会社を設立すれば、グループ全体で雇用されているものとして算定できる。それを「特例子会社」という。

 収穫体験作業の合間に、株式会社パソナハートフルの代表取締役社長、深澤さんに少しお話を伺うことができた。
 草加市の「障害者就労訓練農場」の指定管理業務は、2006年に設立された『ゆめファーム』の活動の実績をかわれて請け負っているとのこと。
 『ゆめファーム』は、”オフィスでは活躍が難しい重度の障害のあるメンバーが、健常者の農業専門家のサポートのもと(中略)農業のプロを目指して(パンフレットより)”活動しているプロジェクト。

 「パソナハートフル」では他に、「オフィス業務」、「アート村(障害者アーティストが就労)」「アート村工房(アート村のアーティストの描くデザインをモチーフとした作品の制作販売)」「ゆめファーム」「パン工房」などの活動をしている。
 いただいた会社紹介のパンフレットの表紙には、素敵なイラスト作品が並ぶ。これはすべて「アート村」で働くクリエイターの作品だ。どの作品も素敵で、はっとさせられる作品ばかり。パソナハートフルのコンセプト、「才能に障害はない」というコピーがそのまま表現されているようだ。
 深澤さんは「本当に素敵なのよ」と、羽田空港で開催される「障害者アーティストによる『アート村作品展』」のちらしを手に、目をキラキラさせて話してくださった。

 バーベキューに参加していたスタッフには障害者の方が多いはずだが、ごく自然に共同作業をされていて、傍目にはほとんどわからない。
 「記憶力とか、ぼくらよりも凄い部分がたくさんあります」と広報室のスタッフの方。
 「鉄道とももクロが好き」と紹介いただいたお兄さんとは、そのネタで盛り上がったのだった(鉄道の話題は私が若い頃の周遊券旅行の話、ももクロは身内がファンなので(^_^;))。
 

 「つばさの森」取材時、宮田さん(当時のつばさの森所長)も話されていたけれど、「障害者の自立」というのは障害者福祉の中でも大きな問題だ。親はいつまでも子供の世話ができるわけではない。障害者が自らお金を稼ぎ、生活力をつけていかなければならないが、その「しくみ」を作るにはどうしたらいいか。

 障害者の雇用について意識する「健常者」は多くはないだろう。「障害者の自立」をビジネスモデルとしてしっかり実現している企業が存在することを、私たちはもっと知った方がいいんじゃないかなと思った。

 ちなみに「株式会社パソナハートフル」については、ちょっと前の記事ではあるけれど、ネット上に詳細な記事を見つけたので、そちらをご紹介。

■社会起業家の「障害者支援ビジネス」
※日経IDでログイン必要


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会場では、パソナハートフルの「アート村工房」や「パン工房」で作られた製品が販売されていた。おみやげにいただいたクッキーはとても美味しかった。パッケージも素敵で娘(大学生)が「かわいいっ」と一言。

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収穫が終わった後のナスの葉。すべてが有機栽培だという。スタッフの方が「害虫を丁寧に捕っていくからできることですよ」と説明してくれた。

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ニュースリリースには、「ピザ釜を利用したピザ作り」と書いてあったが、なかなか使い方が難しいらしく、ピザ作りは断念。かわりに玉ねぎ丸ごとロースト。

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収穫された野菜。

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